C型肝炎 瀉血療法  phlebotomy 目次に戻る

作成日:2003/04/14

概論

 鉄過剰症が肝機能に影響を与えることは古くから知られていました。鉄とB型肝炎の研究報告もあります。この類推からC型肝炎に対しても研究が進められてきました。瀉血(血を抜き取ることです)で過剰な鉄を排除すると肝機能が改善することが報告されています。またC型肝炎に感染したチンパンジーに鉄を与えると肝機能が悪化するという報告もあります。したがって、過剰な鉄は、C型肝炎に影響を与えるのは確かなようです。しかし、瀉血がどうしてC型肝炎に有効であるのか、その作用機序は未だに解明されていません。また、肝機能改善には有効な報告が多いのですが、インターフェロンを併用してもウイルスを排除する作用を増強するかどうかについては否定的な意見が多いのが現状です。

C型肝炎に対する瀉血療法の実際

 献血を受けたり、見たことがある方であれば、方法は同じです。貯蔵鉄の指標であるフェリチンを10ng/ml以下とすることを目標にして、2週間から1ヶ月に1度の割合で全血を200〜400mlずつ瀉血します。瀉血の間隔、一回の瀉血量は、それぞれの方の体格・ヘモグロビン値によって勘案することになります。
 瀉血の問題点は、献血用の太い針を刺さなくてはいけないこと(血管が細い人は苦労します)、時間がかかること、瀉血後にめまい、ふらつきなどの症状が出ること、また稀に心電図異常が出現したという報告もあります。

当院の考え方

 当院では瀉血療法は積極的にはお勧めしていません。インターフェロン単独療法と比較して、ウイルス消失率に差が明らかではないからです。肝機能改善効果についても、他の薬剤が無効であれば考慮する価値がありますが、最初からの選択肢とは考えていません。ただ、完璧なC型肝炎の治療方法がない現状では、作用機序も含めて、さらなる研究が待たれる治療方法であると考えています。なお、本治療法は保険適用がありません。

 

Copy Right 2003 森塚 俊彦