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作成日:2002/11/17

 

【疾患概念】

  • 食道が異常に拡張を来たす疾患。
  • 食道下部の筋層内のアウエルバッハ神経叢が変性ないし消失することにより、食道噴門部が弛緩不全[→緊張した状態]となり、食物の通過が障害され、異常拡張をきたす機能的な疾患。 アウエルバッハ神経叢が変性する原因は不明。
  • X線分類:紡錘形(spindle type)、フラスコ型(flask type)、S状型(sigmoid type)。
  • X線拡張度:GradeT(3.5cm未満)、GradeU(3.5cm以上、6cm未満)、GradeV(6cm以上)。
  • 悪性腫瘍の合併率が高いという報告もある。
  • 食道癌・噴門部胃癌との鑑別が重要。

【症状・診断のポイント】

  • 嚥下困難は冷たいものより温かいもの、流動物より固形物の方が通りやすい。また、嚥下障害の程度が日によって変化するのが特徴。
  • 嚥下障害の割に、栄養状態が保たれている場合が多い。
  • 誤嚥による肺炎に注意する。

【治療のポイント】

  • 薬物療法:通過障害があるため、経口投与には散剤・シロップ剤が望ましい。
  • 交感神経刺激剤(アドレナリン)、抗コリン剤(ブスコパン)はLES圧低下を目的と して用いられるがあまり奏功しない。カルシウム拮抗剤(アダラート)はLES平滑筋弛緩作用があり、舌下可能なアダラートを食前に使用する。ニトログリセリン製剤も同様の効果がある。但し、これらの薬剤は、本症に対しての保険適応がない。効果も、多くは期待できない。
  • 噴門拡張術:薬物療法が奏功しない場合は、バルーンやブジーによって下部食道、噴門部を強制的に拡張する。 通常、何度も繰り返すことになる。自験によれば、きちんと拡張圧をモニターして拡張すれば、通常は3ヶ月に1度の拡張で十分である。
  • 外科的療法:食道粘膜を現して筋層のみを切開する粘膜外筋層切開術(Hellerの手術)が代表である。

▼キーワード 食道拡張;アウエルバッハ神経叢;噴門痙攣症;特発性食道拡張症

 
 


胸部単純レントゲン撮影

心陰影および縦隔陰影に重なって、拡張し、蛇行する食道陰影が認められる。上縦隔の右側では、気管をやや左に圧排しており、液面形成が認められる。


胸部単純CTスキャン

気管の背面に、食物残渣を内に入れる拡張した食道が認められる。右肺に肺炎像を認める。


Copy Right 2002 森塚 俊彦